相続法制の大幅改正点を解説する
弁護士 関戸一考
近年の40年ぶりの相続法制の改正点について,5回に分けて解説をしています。 遺産分割や,相続税の申告等にかかわることが多い弁護士や税理士は,改正の内容を正確に知っておかないと思わぬミスを引き起こさないとも限りませ...
事務運営指針 第2章4(3) 修正申告等の勧奨 |
納税義務者に対し、更正決定等をすべきと認められる非違の内容を説明した場合には、原則として修正申告又は期限後申告(以下「修正申告等」という。)を勧奨することとする。 |
税務署が修正申告を勧告するのは、課税処分をする場合に、根拠となる資料収集や理由付記に伴う事務の煩雑さを回避するためです。更正・決定による方法を避け、修正申告を勧奨する背景は、税務署が事務負担を軽減し、納税者の権利よりも事務の効率化を優先していることの現われです。納税者は主権者として勧奨に惑わされず自分の判断で修正申告するかどうかを決定しましょう。 |
事務運営指針 第2章3(6)反面調査の実施 |
取引先等に対する反面調査の実施に当たっては、その必要性と反面調査先への事前連絡の適否を十分検討する。(注)反面調査の実施に当たっては、反面調査である旨を取引先等に明示した上で実施することに留意する。 |
納税者の承諾もないのに、取引先の調査を行うことは、取引先との信頼関係を損ないかねません。すぐに調査を中止するよう抗議しましょう。また、反面調査先についても事前通知は税務署の都合で省略することはできません。 |
事務運営方針 第2章(基本的な事務手続及び留意事項) |
1 調査と行政指導の区分の明示 |
納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う。 |
行政手続法(行政指導の一般原則) |
第32条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。 |
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。 |
第35条1項 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。 |
呼び出し文書やお尋ねなどの文書は、行政指導に基づくものです。納税者に任意の協力を求める文書であり、強制力のあるものではありません。
これらの文書は行政指導文書であることを明記する必要があり、その確認も必要です。行政指導に応じない場合に、調査に移行するような記述はできません。
事務運営指針 第2章3(5) 提出を受けた帳簿書類等の留置き |
税務職員は調査する場合に、やむを得ず留め置く必要があるときや、質問検査等の相手方となる者の負担軽減の観点から留置きが合理的と認められるときに、留め置く必要性を説明し、帳簿書類等を提出した者の理解と協力の下、その承諾を得て実施する。 |
税務調査は現場で完結させるのが基本です。なぜ持ち帰る「必要がある」のか納得のいく説明を求めましょう。納税者の所有物を公的機関が持ち帰ることは異常なことですし、紛失等トラブルの元にもなりますからはっきり断りましょう。 |
事務運営指針 第2章3(4)帳簿書類その他の物件の提示・提出の求め |
税務職員は調査する必要がある場合において、質問検査等の相手方となる者に対し、帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)の提示・提出を求めるときは、質問検査等の相手方となる者の理解と協力の下、その承諾を得て行う。 |
申告納税制度の下の税務調査は納税者がリードする必要があります。言われたものを従順に出すのではなく、何のために必要なのか聞き、対応するものを自ら判断し提示しましょう。金庫や引出内は論外ですし、パソコン内の資料も必要な物は打ち出しておきましょう。 |
国通74条の9 1項6号(事前通知すべき事項 調査の対象となる帳簿書類その他の物件) |
(条文は2の解説で既出) |
調査の対象となる物件は、事前通知の時点でお互いに確認をしています。 それら以外の物件を調査することはできません。納税者の承諾なしに他の物件を調査した場合は違法行為に当たります。 |
事務運営指針 第1章(基本的考え方) |
調査の実施に当たっては、今般の法改正の趣旨を踏まえ、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」との国税庁の使命を適切に実施する観点から、調査がその公益的必要性と納税者の私的利益との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識した上で、法令に定められた調査手続を遵守し、適正かつ公平な課税の実現を図るように努める。 |
申告納税制度のもとで納税者は自らの計算で決算を行い、納付税額を算出しています。過去に行った申告では記憶があいまいなものや計算の根拠となった資料の点検すべきものもあります。税務職員の質問にもその場しのぎの即答をせず十分に確認をしてから自信をもって回答しましょう。 |
国通74条の9
税務署長等は、国税職員に納税義務者に対し実地の調査を行わせる場合には、あらかじめ、納税義務者、税務代理人に対し、その旨及び次に掲げる事項を通知するものとする。
1.質問検査等を行う実地の調査を開始する日時
2.調査を行う場所
3.調査の目的
4.調査の対象となる税目
5.調査の対象となる期間
6.調査の対象となる帳簿書類その他の物件
7.その他調査の適正かつ円滑な実施に必要な物として政令で定める事項
事務運営方針 第2章2(1)(事前通知の実施) |
納税義務者に対し実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税義務者及び税務代理人の双方に対し、調査開始日までに相当の時間的余裕をおいて、電話等により、法第74条の9第1項に基づき、実地の調査において質問検査等を行う旨、並びに同項各号及び国税通則法施行令第30条の4に規定する事項を事前通知する。 |
事前通知のうち、特に調査の対象となる帳簿書類その他の物件の確認は重要です。ここで通知のあった帳簿書類等は後の税務調査時の提示・提出の対象物となるものです。どのような帳簿書類が準備すべき帳簿等に該当するのか具体的に確認しましょう。 |
誰であろうとも法律の定める手続きを経なければ、自由を奪われない。
税務調査の適正な手続き(事前通知)を経ない突然の訪問は業務妨害となりかねません。納税者の承諾のない税務調査はできません。
国通74条の9 税務署長等は、実地の調査においてあらかじめ、当該納税義務者に対し、その旨その他事項を通知するものとする。 |
事務運営指針 第1章(基本的考え方) |
調査がその公益的必要性と納税者の私的利益との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識した上で、法令に定められた調査手続を遵守し、適正かつ公平な課税の実現を図るよう努める。 |
一般の税務調査は「任意調査」であり、納税者の承諾と協力が前提であることに変わりはありません。 |
事務運営指針 第2章3(1)(身分証明書等の携帯等) |
実地の調査を実施する場合には、身分証明書及び質問検査章を必ず携帯し、質問検査等の相手方となる者に提示して調査のために往訪した旨を明らかにした上で、調査に対する理解と協力を得て質問検査等を行う。 |
原則として税務調査は事前通知が義務付けられています。ではなぜ当然受けることができる事前通知がなされなかったのでしょうか。事前通知の例外として国通74条の10に「税額等の把握を困難にするおそれ、調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると認める場合には、事前通知を要しない」との規定があります。事前通知がなく突然税務署員が訪れた場合、どのような理由でこの例外規定に該当したのか問いただす必要があります。税務署長等の恣意的判断で事前手続きは省略できません。調査に先立って事前通知を受けることは納税者の権利です。 |